日本でも千年以上前から漢方と同様に、鍼灸もその研鑽や技術の向上が積極的に行われ、江戸時代には鍼灸が庶民の生活に身近な存在として深く浸透していたようです。しかし、時々の立法府が定めた制度の元、自然との調和を唱えた東洋医学、その哲学に基づいた鍼灸が隅へと追いやられ、私たちにとってすっかり縁遠い存在となってから久しい。
しかし、欧米や中国を中心に鍼灸にも科学のメスが入り、精密な研究機器や統計的な解析を用いるメタ分析など、最先端の研究が盛んに行われています。その結果、いくつかの知識は否定されましたが、それらを補って余りある有益な知見が発表され続け、世界の研究機関によって鍼灸の知恵が再評価されています。
鍼灸が徐々に見直される中、私たちのご先祖が自然と共に生活をしていた経験を私たちの身近な生活にもっと活かすことはできないでしょうか。もちろん、今の私たちには到底理解できない内容もありますが、現代社会においても有益で実践可能な知恵があるはずです。はりきゆう草庵では、そのような知恵を見つめ直し、しなやかに実践したいと考えています。